2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ内部の金属原子配位位置の制御によるナノデバイスの創製
Project/Area Number |
19810011
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯村 尚史 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 助教 (80452374)
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Keywords | ナノチューブ / 第一原理計算 / 遷移状態 / 軌道相互作用 / 構造有機化学 |
Research Abstract |
本研究では,カーボンナノチューブの化学修飾による炭素骨格の局所変形の制御および局所変形を用いたナノ細孔内部での金属原子配位位置の制御についての知見を得,金属内包フラーレン含有ナノピーポッドを基礎とした機能性ナノデバイスの創製を目的とする. 本年度の研究では,2,3-ブタンジオールで連結されたビスマロネートと14Aの直径を有する(10,10)アームチェアナノチューブとの結合を調べるため周期的境界条件を考慮した大規模密度汎関数法計算を行った.実際には286原子からなるユニットセルを用いて,十数個の配置の全エネルギーを算出した.さらに,ナノチューブ化学修飾における2,3-ブタンジオール連結部の影響を調べるため,二つのカルベン分子(CH_2)による化学修飾についても同様の解析を行った.大規模密度汎関数法計算の結果,二つのカルベン分子を用いた化学修飾の場合,チューブ軸に沿って垂直なCC結合がエネルギー的に有利な結合部位であることが分かった.この際,いつくかの安定な配置は,エネルギー的に近接していることが分かった.一方,2,3-ブタンジオールで連結されたビスマロネートの場合,ナノチューブは位置選択的に化学修飾されることが分かった.この位置選択性の向上の理由として,数多くの配置において2,3-ブタンジオール連結部の構造制限によりナノチューブへの結合自身を弱められたことが挙げられる.また,この結合部位におけるナノチューブのCC結合が解裂することを見いだした(この成果は、現在投稿中).この部位は,金属原子の選択的な配位位置になる可能性が示唆され,ナノチューブ外部の位置選択的化学修飾により内部金属原子の位置制御に重要な役割をすることが予想される.さらにナノメートルスケールの直径を有するゼオライト触媒についても、ナノ細孔内部での金属原子位置に依存した特異な触媒現象を明らかにしている.
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