2008 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴効果を応用したナノ微粒子のマニピュレーション技術の開発
Project/Area Number |
19810012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄司 暁 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (20437370)
|
Keywords | 光ピンセット / ナノ材料 / ナノチューブ・フラーレン / 量子ドット / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
昨年度に構築したレーザートラッピング装置を用いて単層カーボンナノチューブの光捕捉を行った。具体的には、He-Neレーザー(波長632.8nm)の光を対物レンズ(NA1.4)で集光し、単層カーボンナノチューブが分散された水溶液中に入射した。焦点からのラマン散乱を共焦点光学系を通して分光器に導入し、単層カーボンナノチューブ由来のラジアルブリージングモード及びGバンドを1スペクトル/秒で経時的に取得した。単層カーボンナノチューブはHiPco法による市販の材料で、金属性/半導体性の両方を含む、数十種類のカイラリティが混在する。レーザー光照射によって、時間とともに(13,4)のカイラリティからのラジアルブリージングモードの強度が増加するのを観察した。これは、He-Neレーザーの波長に共鳴する(13,4)の金属性カーボンナノチューブだけが選択的に焦点内に捕捉されて濃度が増加したことによると結論づけた。タイトバインディングモデルに基づく誘電率の計算からHe-Neレーザーの波長に共鳴して放射圧が増強されるカーボンナノチューブのカイラリティの同定を行った結果、実験結果と良い一致をみた。以上の結果は、レーザー光の波長によって選択的に所望のカイラリティの単層カーボンナノチューブを光抽出できることを意味している。原理的には、量子ドット、金属ナノ粒子等でも同様の光捕捉が可能で、レーザー光を用いた新しいナノ材料精製技術として期待できる。以上の研究成果はPhys. Rev. Lett.等に発表したほか、SPIE Optics+Photonics国際会議等で発表を行った。
|