2007 Fiscal Year Annual Research Report
トランスナショナル・アクターとしての中国朝鮮族の研究
Project/Area Number |
19810013
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
宮島 美花 Kagawa University, 経済学部, 講師 (70329051)
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Keywords | 地域研究 / 北東アジア / 国際関係論 / 中国朝鮮族 / 民族ネットワーク / アクター / トランスナショナル |
Research Abstract |
本研究は、中国朝鮮族の事例を取り上げながら、従来、特定国内の少数民族問題としてのみとらえられてきた跨境民族が、90年代以降、民族ネットワークを用いてトランスナショナルな活動を活発化させている現象に注目し、今日の彼らをトランスナショナル・アクターととらえ、その活動に新たな国際的意味を与えようと試みるものである。今日、国際関係論は、研究テーマの細分化に伴い、研究者間でもアクター・イメージは共有されておらず、基本的用語をめぐるコンセンサスが揺らいでいる。本研究は、アクター再定義をめぐる一般的・理論的考察に貢献することを意識しながら行われる事例研究でもある。本年は、まず、「弱い紐帯」論、「スモール・ワールド」論などネットワーク論の先行研究の整理および、民族ネットワークに関する先行研究の整理を行った。華僑・華人研究に代表される跨境民族の国境を超える紐帯に関する先行研究は、伝統的にネットワーク論の先行研究とは別個の学問領域として発展してきたが、近年の華人ネットワーク研究には、ネットワーク論の先行研究を一部援用していると思われる箇所が確認できた。次に、国家を念頭にした伝統的なアクター定義・アクターの条件を整理し、アクター再定義を試みる先行研究の整理、アクターに代わる概念を提出しようと試みる研究の整理、「ヒトの国際移動」「国境を越える社会運動」など新たな研究テーマにおける理論的インプリケーションの検討を行った。
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