2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスナショナル・アクターとしての中国朝鮮族の研究
Project/Area Number |
19810013
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
宮島 美花 Kagawa University, 経済学部, 准教授 (70329051)
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Keywords | 地域研究 / 北東アジア / 国際関係論 / 中国朝鮮族 / 民族ネットワーク / アクター / トランスナショナル |
Research Abstract |
本研究は、中国朝鮮族の事例を取り上げながら、従来、特定国内の少数民族問題としてのみとらえられてきたエスニック・マイノリティが、1990年代以降、民族ネットワークを用いてトランスナショナルな活動を活発化させている現象に注目し、今日の彼らをトランスナショナル・アクターととらえ、その活動に新たな国際的意味を与えようと試みるものである。本年は、昨年度研究(ネットワーク論および民族ネットワークに関する先行研究の整理、アクターの再定義やアクターに代わる概念を提出しようと試みる先行研究の整理、「ヒトの国際移動」などの研究テーマにおける理論的インプリケーションの検討)を踏まえて、中国山東省青島、吉林省延辺朝鮮族自治州におけるフィールドワーク、中国および日本で開催された朝鮮族関連のシンポジウムや学会等において最新の情報収集および研究者との意見交換などを行い、朝鮮族の民族ネットワークを用いたトランスナショナルな活動の実態について実証研究を試みた。このような実証的な事例研究を通じて、国境を越えて移動し、国境を跨いだ生活圏を形成するようになったエスニック・マイノリティの民族ネットワークの機能や役割、各国および地域に与える影響などを検討しようとした。また、欧州におけるEUやEUサブリージョンのような国境を跨いだ生活空間を支える制度が不在である東アジア・北東アジアにおける、朝鮮族の跨境生活圏の空間的な伸縮性、移動内容の変化、移動後の生活実態から、アジアの地域構造の一側面を明らかにしようと試みた。
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