2008 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼生産プロセスを利用した有機系廃棄物の熱化学的リサイクル
Project/Area Number |
19810014
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 光一郎 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (50432860)
|
Keywords | 有機系廃棄物 / 熱分解炭素 / 炭素結晶性 / ラマン分光分析 / 水性ガス反応 / 熱化学的リサイクル |
Research Abstract |
本課題では、有機系廃棄物起因の熱分解炭素による、ガス改質反応について、熱分解炭素の結晶性を指標に基礎データの収集を行うとともに、これら反応のメカニズムに関する検討を行い、工業化を目指した技術基盤を確立することを目的としており、本年度は有機系廃棄物を鉄鋼製錬の還元材として用いた際に重要となるガス改質反応にどのような固定炭素・熱分解炭素が有利かを明らかにすることを目的とし、炭材の性状が水蒸気一炭材間の反応性に及ぼす影響について調査した。 代表的な有機系廃棄物として、木材およびRDF(Refuse Derived Fuel:廃棄物固形燃料)を乾留し精製した熱分解炭素を、ラマン分光分析による結晶構造の評価と比表面積の測定から炭材性状の評価を行った後、水蒸気との反応をさせ水素と一酸化炭素を取り出す水性ガス反応の反応速度を、四重極質量分析計による発生ガス分析と熱天秤による試料重量の変化から評価を行い、以下の知見を得た。 ・低い温度で熱処理を施した試料ほどガス化速度が大きく反応性が良好であった。炭素の出発物質で比較すると反応性はRDF>木材粉であった。さらに、高い温度で熱処理を施した炭材ほど炭素結晶構造の黒鉛化が進行し結晶性が良好であることが確認された。まとめると、結晶性の悪い炭材ほど反応性が良好であると言える。 ・結晶性の指標であるI_V/I_Gと比表面積で反応性の定量的な評価を試みた結果、反応性はI_V/I_Gと比表面積との相関関係を有していた。さらに、比表面積を決定する大きな要因はI_V/I_Gであるが、その他にも形状や結晶子の大きさ、吸着性など様々な要因で比表面積が決定していると考えられる。 ・比表面積よりもI_V/I_Gの方が反応性対する影響が強いことが明らかとなった。っまり、ランダム構造が多い炭材ほど反応性が良好であり、鉄鋼製錬の還元材として用いるのに適していると言える。
|
Research Products
(4 results)