2008 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域におけるデマンドバスの導入可能性に関する調査研究
Project/Area Number |
19810017
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
松田 善臣 The University of Shimane, 総合政策学部, 講師 (70453199)
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Keywords | デマンドバス / 中山間地域 / 過疎・高齢化 |
Research Abstract |
本調査研究の対象地域である島根県浜田市弥栄町では、平成20年10月よりデマンド型乗合タクシーの運行を開始した。鉄道が通っておらず、一日に数本通る路線バスも、町内の中心部から町外への輸送を担うだけで、町内に住む人々の日常の移動手段としては利用しづらい状況である。そこで従来は、市がタクシー料金の一部助成を行う「福祉タクシー助成事業」を行っていたが、乗合タクシーの運行開始に伴い福祉タクシー補助事業は終了することとなった。本調査研究では、住民のモビリティ確保のために導入された新たな交通システムとしてのデマンド型乗合タクシーと従来の福祉タクシー助成事業とを比較し、行政の負担や利便性がどのように変化したかについて整理し考察を行った。 その結果、デマンド型乗合タクシーの導入により行政負担は年間およそ8倍にまで増加したことがわかった。また、利用者数については、福祉タクシー券の利用者数を最も少なく見積もったとしても、デマンド型乗合タクシーの利用者数は福祉タクシー券の利用者数と同等程度であった。行政負担が8倍に増えたにも拘わらず、利用者数には特に変化が見られないことから、デマンド型乗合タクシーの運行は、福祉タクシー助成事業よりも費用対効果という点において劣っているとの結論に至った。 先行事例の調査結果では、デマンドバスは人口低密度地域においても比較的低コストで運行可能とされている事例が多かったが、本調査研究対象地域においては、デマンド型乗合タクシーの導入が必ずしも成功したとは言えず、多大な行政負担を強いられる結果となっている。このような結果となった決定的な要因については明らかにすることはできなかったが、住民からの声に基づき、考えられる問題点について整理を行った。
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Research Products
(3 results)