2007 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌III型ポリケタイド合成酵素の機能および構造解析
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19810018
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
勢〆 康代 Iwate Medical University, 薬学部, 助手 (30453319)
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Keywords | Aspergillus oryzae / ポリケタイド合成酵素 |
Research Abstract |
ポリケタイド合成酵素(PKS)は、アシルCoAの縮合により様々な炭素骨格を構築する。PKSは構造的・生化学的性質によりI型、II型、III型に分類されており、このうちIII型PKSは、アシルキャリアープロテインを使わずにアシルCoAを直接の基質として反応する、1つの活性中心のみで一連の反応(脱炭酸、縮合、閉環、芳香化など)を触媒する、という性質を持つ。また、III型PKSは、植物フラボノイドの基本骨格を構築するカルコン合成酵素(CHS)を始めとするスーパーファミリーを形成しており、近年、原核微生物にもIII型PKSが見出されるなど注目を集めている。これまでに、真核微生物のうち、糸状菌の数種にIII型PKS遺伝子が存在することを見出し、新たなスーパーファミリーの存在を明らかにした。更にAspergillus oryzeのIII型PKS遺伝子csyA、csyB、csyC、csyDのうち、csyAが、主生成物として3、5-dihydroxybenzoic acid(DHBA)を与えることを明らかにした。各種^<13>C-標識酢酸の取り込み実験の結果、4つの酢酸単位から生成するポリケトエステルがアルドール反応により閉環することが判明し、orsellinic acid様化合物を中間体として酸化や脱炭酸反応を経てDHBAを与えることを確認した。更に今回、csyBをA.oryzaeで高発現させ、主生成物をカラムクロマトにより単離し、各種機器分析から、germicidin様新規化合物であると同定した。III型PKS遺伝子のうちcsyA、csyBは、A.oryzae標準株RIB40において発現が認められていることから、本成果は、有用物質の高生産、または有害物質非生産株の育種に貢献できるものと考える。
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