2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19810024
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
渡邉 正英 Osaka University of Economics, 経済学部, 講師 (50434783)
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Keywords | 環境評価 / 環境経済学 / 線形射影 / 一致推定 / 計測モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は環境評価における新たな計測モデルを開発することである。環境評価の計測モデルはこれまで数多く提案され改善されてきた。そのなかにおいて本研究で開発するモデルの特徴は、極めて簡便であり、評価プロセスの透明性が高い点にある。さらに、モデルの特定化の過誤による評価バイアスが極めて小さく、評価の妥当性の向上に寄与する。もともと申請者は、Watanabe and Asano(2007)"Consistent Estimation of Mean WTP in Dichotomous Choice Contingent Valuation,"Third World Congress of Environmental and Resource Economicsにおいて、回帰を行わずとも便益が推定可能であり、かつ、統計的に望ましい性質をもつモデルを開発している。19年度はこのモデルを出発点とし、より有効なそして汎用的なモデルの開発を行った。その成果は「二肢選択CVにおける線形射影モデルの漸近有効推定」(大阪経大論集58巻pp.145-149)、「二肢選択CV線形射影モデルの二段階への拡張」(2008年度農業経済学大会)として公表した。前者は先行研究に比べて評価の信頼性を高める方法を提示したものである。後者は農業関連公共事業などにおいて用いられることの多い二段階二肢選択CVMへ適用可能なように計測モデルを改良したものである。シミュレーションの結果、現実の調査で得られる程度の標本数においても、十分正確に便益を推定可能なことが明らかとなっている。このモデルについては、学会報告等で得られた意見などを反映させて完成度を高め、学術雑誌へ投稿予定である。ただし、提示額設計には若干の課題が残っているため、本年度はこの提示額設計の課題に取り組み、より信頼性の高いモデルへと発展させる予定である。
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