2007 Fiscal Year Annual Research Report
コネクターを介する細菌病原性調節ネットワークの全容解明
Project/Area Number |
19810025
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 明宣 Kinki University, 農学部, 講師 (00454645)
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Keywords | ネットワーク / シグナル伝達 / ゲノム / 細菌 / 感染症 / two-component system / connector / ペプチドドラッグ |
Research Abstract |
平成19年度に実施した研究の成果として、まず、コネクターを介する細菌病原性調節ネットワークの全容解明に向け、新規コネクターのスクリーニングシステムの構築が行われた。サルモネラにおいて、雛形となる遺伝学的操作手法を確立し、個々のコネクターに対応したレポーター株の網羅的構築を開始した。また、これらの株を用いて、染色体ライブラリーから潜在的コネクターを濃縮し、同定する操作法を確立した。今後、システマティックなスクリーニングにより、複数の病原性細菌から、コネクターライブラリーの集積をさらに進行させる。 つぎに、コネクターPmrDを含む分子ネットワークデザインの進化的定量解析に関する研究成果を米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。サルモネラにおいて、二成分制御系PhoP/PhoQによって発現誘導きれたPmrDは二成分制御系PmrA/PmrBを活性化し、抗菌ペプチドに抵抗性を示す。近縁種に見つかった、コネクターを含まないネットワークデザインを、サルモネラにおいて実験的に再構築・比較定量することで、コネクターを介するデザインの生物学的特徴を見いだした。また、共同研究の成果として、大腸菌において二成分制御系EvgA/EvgSと二成分制御系PhoP/PhoQ間で働く新規膜コネクターb1500の同定と機能解析を行った。EvgA/EvgSの活性化で発現したb1500は、センサーPhoQと膜上で相互作用し、PhoPを活性化することが明らかとなった。この成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。このコネクター因子はサルモネラの病原性マスターレギュレーターPhoP/PhoQの制御に利用できることから、今後の詳細な解析が期待される。
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