2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロPIXEを用いた細胞内薬剤動態の画像化観察技術の開発
Project/Area Number |
19810032
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
斎藤 克代 Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 助手 (90455288)
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Keywords | PIXE / 加速器 / 放射線、粒子線、X線 / イメージング / 放射線計測 / オルガネラ / 粒子励起X線分光法 / イオンビーム |
Research Abstract |
本年度は、免疫染色の反応条件および標識の増感条件の最適化を行い、イオンマイクロビームを用いて細胞内の特定部位の標準画像を得るための研究を進めた。 【1.染色条件の検討】本研究で用いた二次抗体は、PIXEによる検出が可能な金コロイドと蛍光色素で二重標識されているため、マイクロPIXE分析を行う前に、免疫染色の状態を蛍光顕微鏡で確認することが可能である。蛍光顕微鏡観察で確認しながら、一次抗体および二次抗体の濃度、反応時間、反応温度の検討を行い、HeLa細胞内の標的部位を特異的に染色できる反応条件を見いだした。 【2.金コロイド銀増感法の検討】1で定めた条件により作成した試料を実際にマイクロPIXE分析したところ、金(Au)の含有量が予想以上に少なく、PIXEスペクトルにおいてAuの特性X線のピークを判別することが困難であった。しかし、Auの含有量を多くするために免疫染色の条件を強くすると、非特異な反応が起こり、鮮明な画像が取得できなくなる。そこで、免疫染色の条件は維持したまま、金属銀を沈着させることによって金コロイドを増感した。その結果、マイクロPIXE分析によって得られたPIXEスペクトルから銀の特性X線のピークを選んでマッピングし、蛍光顕微鏡画像に近い画像を取得することができた。 以上より、細胞内小器官のイオンマイクロビームによる可視化の見通しを得た。今後、より鮮明な画像を得るために、試料調製法のさらなる最適化が必要である。なお、本研究でのマイクロPIXE分析は全て、独立行政法人日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA: Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application)に設置されている3MVシングルエンド静電加速器およびマイクロビーム形成装置を利用した。
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