2008 Fiscal Year Annual Research Report
主語名詞句の統語的位置と認可に関する言語喪失研究からの検証
Project/Area Number |
19820003
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
上田 由紀子 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (90447194)
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Keywords | 主語名詞句 / 「が」格付与 / モーダル形式 / 人称制限 / T / C / かきまぜ構文 / A'位置 |
Research Abstract |
日本語の主語名詞句の統語的位置をより明確にするために,理論言語学の観点からは,日本語の主語名詞句は,英語のそれとは異なり,時制辞句の主要部であるTではなく,補文標識句の指定部であるCによって認可されることを発話・伝達に関するモーダル形式と主語名詞句との間に生じる人称一致現象から議論示し,日本語の主語名詞句の認可の為には,Cを主要部とするCP領域の発達がなければならないことを示した。 上記の言語理論研究にもとづき,日本語失語症患者に対し,日本語のCP領域を利用するような統語操作と格付与の関連を調査し,CP領域での統語操作能力の喪失と「が」格付与能力の関係を調べた。失語症患者による調査には,患者側の条件の不安定さが大きな問題であり,これを克服する為に,Miyagawa(2001,2004)にもとづき,A移動とA'移動をほとんど同じモーラ数の語で行える,短距離かきまぜ構文を使い,日本語の主語名詞句の認可と深く関わると考えられている「が」格の付与能力の喪失とA'位置での操作やA'位置での解釈の能力の喪失との相関関係を調査した。 被験者の総数を増やし,相関性の精密化をはかる必要はあるが,「が」格付与との関連は、顕著には観察できなかった。しかしながら、同じOSV語順の文であっても,A'位置へのかきまぜの方がA位置へのかきまぜよりも被験者には困難であった。A'位置へのかきまぜの解釈も困難であるが、その生成はより困難であることが分った。
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Research Products
(4 results)