2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本における家禽の歴史の解明-遺跡試料の原子・分子・組織・器官レベルからの検討
Project/Area Number |
19820015
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
江田 真毅 Tottori University, 医学部, 助教 (60452546)
|
Keywords | 遺跡 / 家禽 / 家畜化 / ガチョウ / 考古動物学 / 古代DNA / 骨髄骨 / ニワトリ |
Research Abstract |
日本産キジ科・カモ亜科の野生個体と家畜個体の骨形態の相違の検出を目的として、山階鳥類研究所、我孫子市鳥の博物館(以上、千葉県我孫子市)、国立科学博物博物館(東京都新宿区)、森林総合研究所(茨城県つくば市)、奈良国立文化財研究所(奈良県奈良市)、スミソニアン博物館(米国・ワシントンDC)に所蔵されている骨格標本の観察および計測をおこなった。その結果、キジ科の上腕骨、手根中手骨、大腿骨、脛足根骨、足根中足骨では、ニワトリとキジ・ヤマドリの間で骨端の幅と長さの比が異なる傾向があり、試料がほぼ完全な状態で残存していればニワトリとキジ・ヤマドリの識別が可能なことが示唆された。カモ亜科では家畜個体と野生個体で顕著な相違を見出すには至らなかったものの、特にスミソニアン博物館での骨格標本の観察から、越冬地で採集された個体の足根中足骨でも骨幹の形成が不完全な場合があること、尺骨にも骨髄骨が形成されうること、髄腔の露出していない骨でもCTスキャンによって骨髄骨が簡便に検出できることなどが明らかになった。これらの知見は、今後キジ科やカモ亜科の遺跡出土試料の分析において、野生個体と家畜個体を識別する手がかりになると期待される。また、元町貝塚(神奈川県横浜市・縄文時代前期〜中期)、浦尻遺跡(福島県南相馬市・縄文時代前期〜晩期)、帝釈観音堂遺跡(広島県神石町・縄文時代早期〜晩期)、青谷上寺地遺跡(鳥取県鳥取市・弥生時代〜古墳時代)、巣鴨遺跡(東京都豊島区・江戸時代)、水野原遺跡(東京都新宿区・江戸時代)、幡羅遺跡(埼玉県深谷市・江戸時代)の各遺跡から出土した鳥類遺体を分析した。このうち青谷上寺地遺跡、巣鴨遺跡、水野原遺跡、幡羅遺跡では肉眼観察で骨髄骨と考えられる試料を確認し、巣鴨遺跡の試料ではレファレンス用に骨髄骨観察用組織切片を作成して、骨髄骨の確認をおこなった。
|