2008 Fiscal Year Annual Research Report
昭和前期における職業作家と出版メディアの相互交渉に関する研究
Project/Area Number |
19820021
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
掛野 剛史 Saitama Gakuen University, 人間学部, 講師 (00453465)
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Keywords | 近代文学 / 出版 / メディア / 読者 / 職業作家 / 横光利一 |
Research Abstract |
本年度は、『日本新聞年鑑』(復刻版)や各種目録、郷土史関連図書の収集に努めたほか、地方新聞の調査を行い、昭和初期を中心に日本各地で行われた読者参加型の文芸講演会といったメディアイベントの実態と、各地での反響について情報の収集を行った。欠号なども多く、網羅的な調査はできなかったものの、福島県や岩手県の地方新聞を中心に、現地新聞の発行状況や所蔵状況を調査し、各地方の新聞と講演会との関わりや、その報道内容、現地での作家の様子などについて知見を広めた。特に岩手県の「岩手日報」では、同紙の文芸欄を中心に構成される現地の文学ネットワークの存在を確認することができた。横光利-については、彼の足跡を詳細に跡づけることができ、またこうして収集した新聞記事はデータベース化した。 また、中央公論社社長の嶋中雄作(1887〜1949)について、彼の出身校である奈良県立畝傍高校に残る資料などを調査し、これまであまり触れられなかった彼の若い時代の一面を明らかにしたほか、編集者、出版社社長として、総合雑誌や婦人雑誌メディアを牽引したそのジャーナリストとしての軌跡を論考として伝記的にまとめた(2009年6月発行予定)。 なお、これまでに発表してきた論考を含めて、学位論文(「横光利-研究-近代出版メディアと読者との関わりを中心に」)をまとめた。これは東京都立大学大学院に提出し、2009年1月23日に行われた公開審査などの手続きを経て、2009年3月に、博士(文学)の学位を授与された。
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Research Products
(1 results)