2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19820027
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
兼岡 理恵 Tokyo Keizai University, 経済学部, 専任講師 (70453735)
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Keywords | 風土記 / 受容 / 地誌 |
Research Abstract |
本研究は、和銅6(713)年撰進詔により編纂された風土記について、以下の二つの観点から編纂当時の風土記の姿、及び風土記伝来・受容の歴史を明らかにすることを目的とする。 1、風土記本文の復元 13世紀後半成立の『釈日本紀』を中心とした風土記逸文の本文研究により、風土記本文の確定をすすめる。 2、風土記をめぐる知の継承の解明風土記の受容という観点から、歌学・神道・国学等のサークルにおける、風土記をめぐる知の継承を明らかにする。 本研究では、主に13世紀中〜14世紀初、近世初期における風土記の伝来・風土記観について考察する。 本年度の成果として、2008年2月に単行書『風土記受容史研究』(笠間書院)を出版した。本書は、奈良時代の風土記編纂時から江戸末期まで、風土記受容の史的変遷の具体的様相を明らかにしたものであり、受容という観点から風土記を捉えた研究は従来になく、今後の風土記研究はもとより、日本における地誌観等の解明に大きく寄与するものである。 出版化にあたる補足調査として、2007年11月に京都・奈良に赴いた。その際に奈良国立博物館の見学、資料収集等を実施、その成果が「「風土記」の世界-地方へのまなざし-」(『文学』第9巻第1号 2008・1)である。本論文は風土記記事にあらわれる編纂者「国司」および「郡司」の眼差しを記事より具体的に読み解くとともに、風土記編纂の意図を探究したものである。また京都では、江戸中期、その編著『万葉緯』において、風土記逸文の収集を初めて本格的に行った人物、今井似閑の関連地を調査した。さらにその後、似閑の菩提寺である黒谷・金戒光明寺や似閑の子孫の方等に聞き取り調査を行った。次年度はこれらの情報を元に、似閑関係の史料調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)