2007 Fiscal Year Annual Research Report
音声言語認識における韻律的手がかりの標準化に向けて:国際英語の観点による分析
Project/Area Number |
19820036
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村尾 玲美 Waseda University, 付置研究所, 助教 (80454122)
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Keywords | 音声言語認識実験 / 韻律的手がかり / 国際英語 / 音調的慣用句 / パイロットデータ / 音声編集 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究の目的は、分節音及び超分節音的特徴を異にする様々な英語を聞き取るにあたり、その聞き取りやすさを左右する音韻情報の共通性をプロソディの観点から検討することである。平成19年度はアメリカ英語と異なる音韻的特徴を持つインド英語を対象とし、英語音声認識実験の実施環境を整えることを目標とした。 【研究方法】 第一に、インド英語話者1名に実験項目となる英文48文の録音を依頼した。実験項目は、過去に行った実験との比較を可能にするため、同じ項目を利用した。第二に、インド英語の分節音及び超分節音的特徴を文献から調査し、実際に録音した音声と照らし合わせて整合性を確認した。整合性の確認を厳密に行うためには、録音音声を音声解析ソフトにかけて更に細かく分析する必要がある。第三に、録音した音声に低域通過フィルタをかけて分節音を劣化させ、超分節音的特徴のみわかるよう編集した。第四に、プロソディ情報のみわかるようにしたインド英語音声をアメリカ英語話者に聞かせ、パイロット実験として音声言語認識実験を行った。 【研究成果】 48文の実験項目のうち24文は、英語コーパスの中で高頻度に出現する定型表現であり、アメリカ英語では音調的慣用句(Intonational ldioms)と呼ばれるものである。インド英語は音節拍リズムで発話されるため、強勢拍リズムのアメリカ英語とはリズム構造が異なるが、パイロット実験では24文のうち18文はプロソディ情報のみで表現が認識されていた。このような結果を受け、"Intonational ldioms"と呼ばれる表現の韻律的慣用性(idiomaticity)が国際英語の観点からしてどの程度汎用性があるのかを調査する必要が浮かび上がった。Intonational idiomsが国際英語において共通するものであるか明らかにするため、今後異なる英語話者の英語音声を比較分析する。
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