2008 Fiscal Year Annual Research Report
音声言語認識における韻律的手がかりの標準化に向けて:国際英語の観点による分析
Project/Area Number |
19820036
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村尾 玲美 Waseda University, オープン教育センター, 助教 (80454122)
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Keywords | 英語教育 / 第二言語習得理論 / 国際英語 |
Research Abstract |
本研究では、英語母国語圏の英語使用者がインド英語のような"Outer Cirlce"に属する英語を聞き取る際、韻律的手がかりを利用しているかどうかを明らかにするため、4つの条件下における音声言語認識実験を行った。実験の結果、次の3点が明らかになった。第一に、ローパスフィルタにより音素情報を劣化させ、F0を一定にすることによりメロディ情報をも取り除いた条件において、表現のリズム情報が音声言語認識に大きな役割を果たした。これは特に定型表現の認識おいて顕著であった。インド英語は強勢拍リズムではなく音節拍リズムであるにも関わらず、リズム情報が利用されたという結果は、音節の長短によって形成される表現の全体的リズムが、音声言語の認識に貢献することを示している。第二に、非定型表現の認識においてはリズム情報だけでは不十分であり、メロディ情報が必要であることが明らかになった。非定型表現におけるメロディ情報は、疑問文・平叙文などの文構造の認識のために使われると考えられる。第三に、英語母国語圏の英語使用者は、第二言語として英語を使用している話者の英語の聞き取りにもプロソディ情報を有効に利用していることが明らかにされたが、同じ英語母国語圏のアメリカ英語の聞き取りにおいて、有意に多く利用されていることが明らかとなった。特に定型表現においては、プロソディ情報が与えられた場合、インド英語では18.02%の音素情報を必要としたのに対し、アメリカ英語ではわずか4.42%の音素情報で、表現が認識されている。これは本研究で利用した定型表現の実験項目がアメリカ英語では“lntonational Idioms"の高い表現である可能性が考えられる。
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