2008 Fiscal Year Annual Research Report
研究者と調査対象者による、映像記録制作手法の開発と「映像アーカイブ化」の実践
Project/Area Number |
19820046
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 岳海 Ritsumeikan University, 映像学部, 専任講師 (20454506)
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Keywords | 文化人類学 / 映像人類学 / 映像アーカイブ / 地蔵盆 / ガンタ・カルナ / バレンシア火祭り / インタビュー |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究者と調査対象者による映像記録制作を通して地域住民との「映像アーカイブ化」の実践を試みることであった。研究計画最終年である本年度は、昨年度に続き、京都市・静原の年中行事である地蔵盆と虫送り行事を対象として調査対象者と共同して映像を記録した。また、火をシンボルとした虫送り行事と比較するため、ネパールの虫送り行事であるガンタ・カルナとスペインのバレンシア火祭りの調査・撮影をおこなった。 これらの調査において、静原で記録した映像とネパール、スペインの年中行事の記録映像を各地域でコミュニケーションツールとして利用し、映像的に比較しインタビュー撮影することで、年中行事の意味づけに関する調査をおこなった。また、関西学院大学大学院に所属するネパール研究者と記録した映像を視聴し、映像記録の制作と地域住民との映像アーカイブ化のシステム構築のために、どのような取り組みが可能か情報交換をおこなった。 通常、調査結果は文字としてまとめられるが、言語の違う住民同士で情報共有することが難しい。しかし、上記の取り組みにより、地域住民と共同しておこなう年中行事の調査では、視覚的に確認でき、記憶を喚起する媒体となりうる映像アーカイブを利用することが有効であると考えられた。また、年中行事の映像記録とともにおこなったインタビューの映像記録とその視聴から、映像アーカイブの構築だけでなく、映像アーカイブを利用した調査記録そのものをアーカイブ化することも今後の調査で重要な役割を果たすと考えられる。 本研究の成果は、地蔵盆の映像比較に関する論文とインタビュー映像に関する論文、日本文化人類学学会における分科会で発表された。
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