2008 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術政策と医療保険制度をめぐる経済学的基礎研究
Project/Area Number |
19830019
|
Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
齋藤 裕美 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 助教授 (60447597)
|
Keywords | 医療経済学 / 新技術 / 混合診療 |
Research Abstract |
本研究の目的は,医療分野における技術進歩と整合的な医療保険制度を構築するため,体系的な分析枠組みの確立に向けた経済学的基礎付け作業を行うことにある。科学技術の進歩で今後、新薬・新技術がますます実用化されるであろうことを踏まえれば、こうした新薬・新技術にいかにアクセスできるようにするか、またそのとき、公平性をどのように担保するかは、医療保障制度のあり方を考える上でも重要なトピックであろう。 具体的には日本の医療制度の特徴を、公平性などその背景にあるものをふまえながら問題を整理するとともに、医療技術の進歩が進んだ場合、現行の医療保険制度はどのような問題をはらんでいるのか、あるいははらみうるのかを検討した。特に日本とは対照的な制度を持つ米国との比較を念頭に、日本の医療制度の特徴について考察を重ねた。その過程で制度設計の基礎的な材料を得るべく、国民の視点から見て、新薬・新技術などのアクセスに関わる医療制度がどのように評価できるのかを、サーベイデータに基づいて実証分析した。日本においては医療における平等性という意識が浸透しているといわれる。そのため、単に医療技術へのアクセスの利便性のみを追求するだけではなく、公平性など国民の考えを反映した制度設計をする必要がある。その意味でもこの研究は重要な意義をもつと考えられる。 その研究成果は国内学会の部会や研究会で報告したうえで、ディスカッションぺーパーとして公刊し、査読付き学会誌に投稿した。現在、条件付き掲載可能との審査結果を受け、再投稿し、最終結果を待っているところである。
|
Research Products
(5 results)