2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国における学校制度の柔軟性-子どもの多様性に対処する視点から-
Project/Area Number |
19830029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠山 研 Kyoto University, 教育学研究科, 助教 (20452328)
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Keywords | 中国 / 学校制度 / 地方分権 |
Research Abstract |
実施1年目である平成20年度は、中国の学校制度の柔軟性に関して、(1)中国における学校制度に関する文献資料の収集・分析、(2)現地調査による事例調査、資料の収集をおこなった。 前者については、中国の学校制度の特徴を明らかにするという観点から、主に中国語、日本語、英語の文献を幅広く収集し、学校制度の分析を進めた。後者については、中国に渡航した際に資料の収集や訪問した学校や研究所での聞き取り調査を実施した。具体的には、北京師範大学、中央教育科学研究所、華東師範大学などの研究者と交流し、情報交換をおこなった他、上海市、山西省太原市などの小学校を訪問し、地方における学校制度の状況や弾力的運用の実態について聞き取り調査をおこなった。その結果、例えば小学校における英語教育は、地域や学校によって開始学年に差があるだけでなく、教員や教育方法にも大きな違いがみられた。これは地域に柔軟性を認めると同時に、国や省がある程度の関与・援助をしていく必要がある事例ということができよう。 本年度の研究成果としては、中国における義務教育の歴史と現在の状況をまとめた「中国」(清水一彦・山内芳文他著『国際化と義務教育』全国海外教育事情研究会)を発表した他、科学研究費(研究代表者・杉本均)の最終報告書に義務教育制度の全国的な動向をまとめた「中国における義務教育制度の弾力的運用に関する動向」を執筆し、また中国における大学入試制度の弾力化といえる「自主招生」の募集要項を訳出してまとめた『中国の大学入学者選抜における「自主招生」の現状(資料集)』(南部広孝と共編)を発表した。
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