2007 Fiscal Year Annual Research Report
CSR情報開示におけるステイクホルダー関与アプローチの実態調査研究
Project/Area Number |
19830035
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀口 真司 Kobe University, 経営学研究科, 准教授 (10432569)
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Keywords | CSR / ステイクホルダー・エンゲージメント |
Research Abstract |
本研究は、CSR報告書の作成に際し、「ステイクホルダー関与アプローチ」を理論的基盤としながら規格化を進めている海外の各種団体の動きと、実際の企業の実務動向を調査することを目的としている。 平成19年度は、「ステイクホルダー関与アプローチ」を推進する団体が発行している規格書を収集・整理・分析し、実態調査の事前準備を行った。具体的には、イギリスを基盤に活動をしている、アカウンタビリティ研究所というNPOが、2005年に発行した『AA1000SES(Stakeholder Engagement Standard)』という規格書を入手し、その開発背景および内容の詳細な分析を行った。まず、ステイクホルダーという概念が生まれてきた理論的背景を検討し、続いて企業とステイクホルダーの関わりについての最近の制度動向を整理し、その上で当該規格書の内容を詳細に分析した。その結果、主として以下の3点を明確にすることができた。 1.ステイクホルダーとは、企業の社会的責任やアカウンタビリティを可視化するために考え出されてきた概念であること。 2.企業とステイクホルダーの関わりを論じる上で、アカウンタビリティという考え方が重要な役割を果たしており、その遂行プロセスにはさまざまなNPOが関与してきたということ。 3.そのようなNPOの1つであるアカウンタビリティ研究所が発行している『AA1000SES』は、ステイクホルダー・エンゲージメントを「予想・計画」「準備・実施」「応答・測定」という3つのステップから構成されるプロセスと定義し、そこではそのプロセスが一種のPDSAサイクルと見なされていること。 全体として、ステイクホルダー・エンゲージメントとは、報告書に記載されるべき重要事項を特定するプロセスとして理解することができ、次年度は、このようなプロセスが実際の企業の中でどのように運用されているのかを調査する。
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Research Products
(2 results)