2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト成果主義人事システムの探求-「成果」の意味内容に着目した実証研究-
Project/Area Number |
19830038
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
厨子 直之 Wakayama University, 経済学部, 講師 (40452536)
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Keywords | 成果主義 / ポスト成果主義人事システム / 内容分析 / 評価制度 / 報酬制度 / 人的資源管理 |
Research Abstract |
本研究の目的は,我が国における成果主義の実態を探り,今後の展開の方向(ポスト成果主義)を解明することにある。この目的を達成するために,本年度は以下の2つの研究を執り行った。 1.成果主義に関する新聞記事の内容分析 1986年から2008年までの日本経済新聞を用いて,「成果主義」をキーワードに,具体名の記載がある企業組織を抽出し,先行研究で焦点が当てられている成果主義の実態を捉える要素(「導入の意図」,導入対象となる「職種」「役職」「雇用形態」「人数」,「評価方法」,「賃金格差」,「関連制度の導入・廃止」など)をもとに記事内容を整理した。分析結果の要点は,成果主義が喧伝された過去20年間が,成果主義それ自体の設計や運用の多様化に加え,成果主義導入と同時に組織変革や人事諸制度の変革が実施され,成果主義の内実が複雑多様化してきた変遷として捉えられることである。 2.人事制度の実態調査に関する2次データ分析 上で判明した成果主義の複雑化傾向を量的な側面から把握するために,社会経済生産性本部『日本的人事制度の現状と課題』の統計調査データ(1997年から2006年)の分析を行った。分析結果の要点は,年功主義から成果主義への移行のなかで,成果主義入事システムの多様化が進んでいること,さらに制度の運用と修正に関わるコストの増加傾向が窺われたことである。 以上の発見事実から,ポスト成果主義人事システムには,制度の構造上の単純化が必要となることが示唆された。これは昨年度の病院のケース・スタディから見いだされた結果と同様である。これらの最終的な含意については,研究成果最終報告書で詳述する。
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Research Products
(3 results)