2008 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある大学生等への支援モデル構築に関する比較教育学的研究
Project/Area Number |
19830051
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 Kagoshima University, 教育学部, 講師 (60452926)
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Keywords | 発達障害 / 高等教育機関 / 実態調査 / 支援ニーズ / 国際情報交換 / アメリカ / 特別支援教育 / 比較教育学的研究 |
Research Abstract |
今年度は、大学生の学習・生活面における困難さの実態把握および支援ニーズに関する調査の継続と、支援モデルの構成要素の検討に焦点を当てた。今年度の成果は、以下の2点に集約できる。第一に、昨年度、短期大学を中心に実態把握と検討を行ったが、今年度は対象を拡大し、大学間(国私立含)の比較検討まで行った。結果、困難さを感じる学生はいずれの大学にもいたが、短期大学生の方が大学生よりも学習や実行機能に関して困難さを感じており、大学間での差異がみられた。支援ニーズについては、短期大学生は基本的な学習面での支援を求め、大学生は、学習障害の傾向がなくとも、論文添削など課題の完成度を高める支援を求めていた。国立大学を含む学生の困難さの実態や大学間の支援ニーズの違いを明らかにできた点は意義深く、支援モデルを検討する上での資料を得られた。第二に、発達障害学生への具体的支援内容を検討するため、先進的な取組をしている米国Landmark Collegeを訪問し、新入生オリエンテーションへの参加や、学生(LD・ADHDの診断有)への聞き取り調査、そして授業見学を行った。これにより、学び方に焦点を当てた支援としてのコーチングや、生活・学習の両面への個別的指導、さらに発達障害学生の自己肯定感の立て直しを図ることを目指した初年次教育の必要性と重要性が明らかとなった。本研究では、最終的に発達障害学生支援モデルのイメージ化まで行うことができ、当初の目的を概ね達成できたと言える。また、青年期における発達障害診断の方法が未確立の日本の状況下で、すべての学生に共通した支援と、発達障害学生に焦点化した支援の必要性を示唆するようなデータを得られたことは重要である。しかし、支援要素として必須と考える障害の自己認知については、日本に合った支援方法の解明が必要であり、課題として残った。
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Research Products
(2 results)