2008 Fiscal Year Annual Research Report
発達性読み書き障害における読みの正確性と自動性に関する研究
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19830057
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
春原 則子 Mejiro University, 保健医療学部・言語聴覚学科, 教授 (70453454)
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Keywords | 学習障害 / 発達性dyslexia / 音読年齢 / 読みの自動性 / 読みの正確性 |
Research Abstract |
本研究の目的は二つある。第一に漢字音読成績から推定できる小学生の漢字音読年齢(RA)を作成することである。頻度や親密度(なじみ深さ)、心像性(イメージしやすさ)、学年配当といった各種の漢字の属性を考慮して検査用の94単語を選定し、この単語の音読結果から音読年齢を作成する。第二の目的としては、小学生における各学年の音読速度(fluency:流暢性)の基準値を作成し、発達性読み書き障害における流暢性と正確性(accuracy)との関速をみることである。平成19年度は、漢字単語の音読に関して4,5,6年生それぞれ約30名について、知能検査や要素的な認知検査を実施した小学生を対象として基準値を作成した。2年目(研究最終年度)となる本年度は、知的障害例や明確な発達障害例を除き、漢字音読に関しては1年生から6年生までの約250名のデータを加え合計515名、音読スピードに関しては1年生から6年生まで合計403名のデータをもとに基準値を作成した。漢字音読年齢に関しては、6か月間隔ごとに平均粗点をグラフにプロットし、そのプロットした点にフィットするようにスムージングした曲線を作った。その曲線から粗点ごとに3カ月ごとの相当年齢を出した。その結果、漢字音読習得曲線において傾きが急(9か月間で平均音読数が10以上の変化)であった年齢は、7歳9か月から8歳5か月まで、および9歳6か月から10歳11か月であった。学年に換算すると、漢字を習得し始めた1年生から2年生にかけてと漢字習得数が急に増える3年生から4年生にかけての時期であったことから、本音読検査は妥当性が高いのではないかと考えられた。また、音読速度について、ひらがな、カタカナの単語と非語および文章を刺激とした際、所要時間と誤反応数は独立した因子として抽出されたことから、音読については正確さだけでなく流暢性も加えた評価が重要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)