Research Abstract |
1.フランス法との比較法研究 わが国においては,バブル崩壊後の不良債権処理の中で,不動産担保偏重の融資システムが批判され,動産・債権など,新たな担保を重視する方向性が打ち出された,そうした方向性を裏打ちするように,新たな法整備は,新たな担保を対象として行われた. これに対し,民法制定以来の担保法大改正を経験したフランスにおいては,確かに動産・債権担保に関する法整備も行われたが,不動産についても,不動産担保強化の方向へと民法が舵を切ることになった.実際,新法によってそのルールが整備されたと言われる動産担保は,ほとんど用いられておらず,複数の改正が繰り返されるという状況にある,これに対して,強化された不動産担保は,実務の期待を集めている. こうした状況をふまえて,動産・債権担保制度の整備に関しては,信託の仕組みを用いる場合と担保的な仕組みを用いる場合とがあるが,信託の仕組みに着目し,立法状況の紹介を行った。不動産担保に関する法整備に関しては,研究をまとめる作業に着手している. 2.アメリカ法との比較法研究 アメリカ法に関しては,ペンシルバニア州におけるヒヤリング調査および資料収集を行い,昨年度の研究成果と併せて,研究論文としてまとめる作業を行った. それに加えて,新たに,アメリカにおける不動産融資スキームを,実際に用いられている契約書のひながたを入手し,日本におけるそれと比較する作業を行った,紀要論文として公表予定である.
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