2007 Fiscal Year Annual Research Report
特別予防的期待可能性理論の研究-リスト・シュミットの責任論を素材として-
Project/Area Number |
19830070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小坂 亮 Waseda University, 法学学術院, 助手 (20434227)
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Keywords | 刑法 / 期待可能性 / フランツ・フォン・リスト / エーベルハルト・シュミット / 責任論 / 刑法学説史 / 近代学派 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究においては、リストの刑法教科書改版前のリスト自身の責任論との比較を通じてシュミットによるリストの刑法教科書の改版(シュミットの責任論にあたる)を研究するという、これまでの先行研究とは異なる方向からシュミットの責任論を検討し、シュミットの責任論の意義、ならびに、リストの学説体系と規範的責任論との関係を解明することにより、規範的責任論の中核概念である期待可能性が近代学派理論では学説体系上いかに位置づけられるべきかを明らかにすることを目的とした。 以上の目的のもと、一次資料(刑法教科書におけるリストとシュミット本人の記述)を最重要視し、リストの刑法教科書の第1〜26版(リスト自身の手によるものとリストの死後にシュミットによって改版されたもの)すべてを検討するという方法に依拠し研究を進めた。 上述の方法による研究を行うためには、リストとシュミットにより書かれた教科書の各版、責任論に関する著書・論文等の多くの一次資料が不可欠であり、加えて、上記文献に関する研究書・研究論文等の関連資料も必要であるが、遠隔地の資料および国内には存在しない入手困難な資料が多数あったため、今年度は研究計画で予定した手法に従ってそれらの所在を検索しそろえる作業を行った結果、研究計画の実施に欠かせない多くの貴重な資料を入手することに成功した。 続いて、それらの資料を検討することにより、期待可能性という概念を論ずるにあたって新たに分析を開始する必要性を認識していた行為論との関係について有益な知見が得られたため、来年度はこれを土台として研究を継続することとする。
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