2007 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権改革後の地方自治体による行政組織改革と縦割行政防止に関する要因分析
Project/Area Number |
19830086
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
三田 妃路佳 Sugiyama Jogakuen University, 現代マネジメント学部, 講師 (80454346)
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Keywords | 地方分権 / 行政組織改革 / 河川行政 / 公共事業 / 縦割り行政 / 国土交通省 / 淀川水系流域委員会 / 下水道 |
Research Abstract |
研究の成果は、第一に、90年代後半からの有権者の公共事業への認識の変化が、国交省中心の河川行政の実施方法の転換につながったということを明確にした点である。第二に、国土交通省内の勢力関係が、国交省から地方自治体の河川事業への影響を左右することがあるいう知見を得たことである。第一・第二の成果は、単に制度改正だけでは、自治体の状況や意向を反映させ地方分権の趣旨にあった事業実施が必ずしもなされないということを示し、意義のあるものとなった。これらの成果は、淀川水系流域委員会を事例とした90年代後半以降の河川行政に関する研究によるものである。97年の新河川法の改正により、河川行政における中央・地方関係が変化することとなり、同法改正を受けて各水系に水系流域委員会が設置されている。この状況は、地方分権改革を受けた、中央省庁による地方自治体の事業選択への影響の変化に関する要因を明らかにする研究目的と合致するため研究を進めた。紀要『社会とマネジメント』(第5巻2号)への執筆のほか、第41回行政共同研究会(3月27日、東京大学)で報告を行い、公表した。 第三に、香川県多度津町での下水道再生事業の現地調査結果である。同町では、国土交通省、農林水産省、環境省、香川県から下水道再生事業に関連する補助金を獲得し、省庁の縦割り行政を超えて下水道を農業用水、鑑賞用水等に再利用している。調査の結果、渇水といった行政組織の外部要因が取り組みを促進したということを明らかにした。
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