2008 Fiscal Year Annual Research Report
フェアか?アンフェアか?:組織におけるアシメントリックな対概念
Project/Area Number |
19830089
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
林 洋一郎 Hosei University, キャリアデザイン学部, 准教授 (70454395)
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Keywords | 公正 / 不公正 / 非対称 |
Research Abstract |
これまでの組織的公正研究は、公正感(fairness perceptions)という公正さのポジティブな側面に焦点を当ててきた。これに対し、本研究は、従来のポジティブな公正価値だけでなく、不公正感あるいは不公平感といったネガティブな側面に注目したものである。 平成20年度は、Ambrose & Schminke(2009)による一般公正尺度をベースに公正尺度と不公正尺度を作成した。我々は不公正さのドミナントな効果に注目するので、不公正表現による一般公正が公正表現のものよりも個人の反応をより強く規定すると予測した。そこで、1)不公正尺度と不公正尺度の信頼性・妥当性の検討、2)不公正のドミナントな効果という2つの点を検証するために、大学生を対象とした質問紙調査を実施した。因子分析になどによる項目分析の結果、公正さと不公正さの二次元性と各尺度の信頼性は確認できた。さらに不公正さと満足感との相関も見出され、1)についてはそれを支持する一定の結果が得られた。しかし、2)に関しては不公正ではなくむしろ公正の強い効果が見られ、我々の予測は支持されなかった。我々は大学生活に関する不公正さを尋ねたのであるが、例えば職場に比べて大学生活において不公正なイベントがあまり一般的でないために今回のような結果になったと考えられる。今回の尺度は、公正と不公正というように単に表現を逆転させただけの簡単な方法で公正さと不公正さの効果を比較したが、公正さと不公正さの質的な違いをより理論的な観点から(例えば、不公正さは何かを非難するという感覚を伴う)操作的定義する必要が示唆された。
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Research Products
(1 results)