2007 Fiscal Year Annual Research Report
ファミリー企業のガバナンスが企業行動・業績に与える影響に関する実証研究
Project/Area Number |
19830093
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
齋藤 卓爾 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 講師 (60454469)
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Keywords | 金融論 / 企業統治 |
Research Abstract |
本年度は1990年度末に東名阪市場1・2部に上場していた1818社(金融・電力・ガス業を除く)をサンプル企業とし、1990年度から1999年度までの各社の全社長・会長の出自(創業者、創業者との血縁ならびに姻戚関係)、創業者一族に関連した大株主(大株主上位20位以内に含まれる一族関係者、資産管理会社、財団法人など)に関するデータベースの作成を行った。また、このデータに基づいてファミリー企業の業績に関する論文、Family Firms and Firm Performance: Evidence from Japanを作成した。おもな結果は以下のようなものである。ファミリー企業全体の業績は非ファミリー企業よりも若干高い。しかしながら、この好業績は創業者による経営によって達成されたものである。創業者が社長もしくは会長を努めている企業の業績は創業者一族の株式保有状況に関わりなく、非ファミリー企業よりも優れていた。しかしながら創業者の引退後、創業者の子孫に経営が世襲された企業、特に創業者一族が最大株主である企業の業績は非ファミリー企業と比較して統計的に有意に劣っていた。この結果は創業者の引退後は創業者一族が経営者としての立場と最大株主としての立揚を生かして、他の株主にとって望ましくない行動を行う可能性があることを外部の株主が株価に織り込んでいるからであると考えられる。ゆえに、創業者引退後も創業者の子孫によって経営が行われている企業に対しては外部からのモニタリングが重要であると考えられる。
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