2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジア都市貧困層における当事者主導型のコミュニティ創出に関する実証的研究
Project/Area Number |
19830098
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西田 心平 Ritsumeikan University, 衣笠総合研究機構, 研究員 (00449547)
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Keywords | 都市貧困層 / コミュニティ / スラム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、タイ・バンコクにおける貧困層のコミュニティづくりに焦点をあてて、その取り組みに見出せる支援策の可能性と課題を明らかにすることである。平成19年度に取り組んだ主な作業は次の2点である。 1.タイのスラム開発および居住政策に関する研究文献の検討。 2.平成20年度からのフィールド調査に先立ち、バンコクおいて貧困層のコミュニティづくりに取り組んでいる独立行政法人「コミュニティ開発機構(CODI)」へのプレ調査の実施。 近年、日本におけるホームレスの問題は、若年層の問題も巻き込みつつ拡大傾向にある。それに対して、日本では「開発」という視点からの問題解決に関する研究は、住宅政策に関するものを除いてほとんど見られない。本研究の視点は、いわゆる貧困層を巻き込んだ「コミュニティづくり」にある。タイの事例はその点で、住宅政策による失敗を踏まえた新たな取り組みとして先駆的なものと位置づけられる。一方で、国際的な視野での「貧困」と「開発」に関する研究は、そこでの手法を日本の問題にどのように還元できるかという視点が不充分である。それゆえ、日本の問題にどのように還元できるかという視点から、アジアの先駆的な貧困開発の事例に学ぶ研究が求められている。 平成19年度は、こうした視点から、タイを中心としたスラム開発・居住政策に関する文献研究とCODIの住環境整備についてのプレ調査を行なった。これらにより、マイクロクレジットを基本とした低利融資事業、コミュニティネットワーク活動、小規模住民組織づくりが、コミュニティづくりの中心にあることが明らかとなった。
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