2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア都市貧困層における当事者主導型のコミュニティ創出に関する実証的研究
Project/Area Number |
19830098
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
西田 心平 The University of Kitakyushu, 基盤教育センター, 准教授 (00449547)
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Keywords | 都市貧困層 / コミュニティづくり / スラム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アジアの貧困層による住民主導型のコミュニティづくりに焦点を当て、住民、NGO(あるいはNPO)、政府などの相互連携とネットワークのあり方、及びそこに見出せる自立支援の可能性と課題を明らかにすることである。20年度、本研究では「当事者主導型」という点により重点を置きながら、タイ・バンコクの現状を調査してきた。 タイにおいて主な対象となったのは、独立行政法人「コミュニティ組織開発機構(Community Organization Development Institute、以下「CODI」)」による住環境整備事業や生活自立支援の取り組みである。CODIは、政府と協調しつつ2003年から5年間にわたり全国の200の都市における貧困層約30万世帯、約2000のコミュニティを対象に、現存する土地所有問題を解決し、住宅、基盤施設の整備、福祉・経済状況等の改善を目的とした事業を展開している。「経済開発」の側面のみならず、「社会開発」の側面から包括的な視点に立って貧困問題を解決していくために、事業への住民の参加プロセスを重視し、コミュニティそのものの絆を強化していくことを目的としたものである。具体的には、事業展開を図っていく際、様々な選択肢がある中で、どのような事業形態が当該するコミュニティに対して望ましいのをが、住民自身が話し合い、ニーズを出し合い、相互に一程納得のいく事業を決定していくわけである。また、そのプロセスをCODI、その他の関係機関などが連携し合い、側面から継続的にサポートしていく。もちろん、支援対象の選別という課題もないではないが、その理念の実践には学ぶ点が多い。今後とも継続して研究を重ねたいと考えている。
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