2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830100
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
出羽 孝行 Ryukoku University, 文学部, 講師 (20454530)
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Keywords | 教育学 / 異文化間教育学 / 韓国朝鮮学 / 民族教育 / 中国朝鮮族 |
Research Abstract |
当該年度においては、朝鮮族学校と交流関係のある韓国の学校2校、そして韓国の学校と交流関係を結んでいる朝鮮族学校王校を訪問し、姉妹校締結の目的、意義などについての聞き取りを実施し、関係資料の提供を受けるとともに、平成20年度に行われる、朝鮮族学校と韓圏の学校との交流行事への参観許可を得た。また、韓国や中国の研究者から聞き取りを行ったり、研究協力を得たりした。 さらに、韓国、中国の教育研究機関や図書館などで資料収集を行い、韓国の在外同胞教育政策や韓民族共同体構築施策の目的や内容について検討すると同時に、在外同胞政策の今後の方向性についても若干の提起を行った。そこで明らかになったことは韓国にとって在外同胞の概念は定まったものではなく、一定の政治性を帯びたものであること、そして在外同胞を支援し、活用することは韓国が国際社会の中で存在感を維持して行く上で有効に機能するだろうことなどである。そのためには在外同胞が朝鮮民族としてのアイデンティティを維持していくことが必要であり、在外同胞教育支援政策もそこに基点がおかれているのである。しかし、こうした支援活動を通じて、韓国の文化を中心にして在外同胞の文化を「膀系」とみなすことは結局、韓国中心主義を生むという問題点も指摘されており、実際、韓国と在外同胞が居住する社会との間に摩擦を生じさせる危険性も言われている。一方で、中国朝鮮族のように民族教育体系が危機的な状況を迎えている在外同胞にとって、韓国からの支援が大変有用であることも事実であり、そんな中において、中国朝鮮族学校と韓国の学校との交流を進展させていくためには互いに得られるものがある形での交流にしていくことが必要であることを提起した。こうした研究は朝鮮族学校と韓国学校の姉妹校交流の機能を明らかにするのに必要不可欠であり、当該年度の研究は順調に経過したと言うことができる。
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