2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830100
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
出羽 孝行 Ryukoku University, 文学部, 講師 (20454530)
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Keywords | 教育学 / 異文化間教育学 / 韓国朝鮮学 / 民族教育 / 中国朝鮮族 / 姉妹校交流 |
Research Abstract |
本研究は韓国人と中国朝鮮族(以下、朝鮮族)との交流関係を分析していくことで、希薄化しつつといわれる朝鮮族の民族アイデンティティの新たな展開過程を模索していくことを目的としている。これまでの研究で両者の姉妹校交流は韓国による在外同胞教育支援という特徴を有していることが判明した。当該年度においては姉妹校交流をより詳細に分析するために以下の調査を行った。1、朝鮮族学校と積極的な交流を行っている韓国の学校において、これまで姉妹校交流を行ってきた教員や生徒から聞き取り調査を行った(当初は韓国の学校と朝鮮族学校との姉妹交流行事に参加する予定であったが、北京オリンピック開催のために、この年の行事そのものが中止となった)。2、朝鮮族教育関係機関に依頼して、中国内の朝鮮族学校を地域ごとに選択して姉妹校交流に関する質問紙調査を実施した。3、3校の朝鮮族学校を訪問して教員への聞き取り調査を実施した。4、中国や韓国において文献調査をおこなった。 これらの調査・研究活動を通じて以下のことが明らかとなった。1、朝鮮族学校と韓国の学校の姉妹校交流は途中で関係が途絶える例もみられ、韓国の学校との交流を消極的に考える朝鮮族学校もある。2、多くの朝鮮族学校は韓国の学校との交流に意義を感じているものの、学校再生の切り札というほどにはなっていない。3、姉妹校交流を継続性あるものにするためには単に韓国から朝鮮族学校への教育支援とするのではなく、特に韓国の側に積極的な教育意義を持たせることが重要である。 結局、朝鮮族学校にとって韓国の学校との姉妹校交流を継続的に進めるには「支援」を得ること以外の目的を設定される必要があり、その意味で現時点は、姉妹校交流の「淘汰」の時期にあるといえ、継続性ある事例が精選されて来ている状態にあるといえる。
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