2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830107
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
津田 理恵子 Kobe Women's University, 健康福祉学部, 准教授 (80441202)
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Keywords | 社会福祉関係 / 施設入所高齢者 / 回想法 / 生きがい / 介入効果 / 介護負担感 |
Research Abstract |
2008年2月〜2009年7月の期間に、特別養護老人ホームにおいて、高齢者にとって、生きがい感・抑うつ・感情・日常生活動作・認知機能・意欲に変化があるか確認するために、多層ベースライシでの介入を試み、回想法の介入效果について、2ヶ月に1回10ヶ月間にわたり、評価尺度を用いて調査を実施した。さらに、介護者の負担感について回想法介入前と介入後に、評価尺度を用いて調査を実施した。 3(グループ;A組,B組,C組)×5(時期;1回目,2回目,3回目,4回目,5回目)の分散分析を行った結果、生きがい感ろケール(K-1式)において有意な傾向が示され(P=0.06)、多重分析の結果、全てのグループにおいて介入直後に改善が示され、画想法の介入によって生きがい感は一時的に改善することが示された。また、回想法実践中の評価として、ベンダー観察記録表と作成した行動観察スケールを使用した結果、回を重ねるごとに、自発的な発言回数が増え、行動面での改善が確認できた。これらのことから、回想法は、懐かしい記憶という認知に働きかけ、人生回顧を他者と共有する過程で自分らしさや自信を取り戻すことが可能となり、心身の活性化につながる支援として位置づけることが可能といえる。 一方、介護職員の負担感では、2008年7月(回想法介入前)と、2009年7月(回想法の介入後)にバーンアウト調登を実施した。その結果、回想法の介入を試みかった棟では、バーンアウトの判定の解釈において悪化している項目が示されたが、回想法の介入を試みた棟では、情緒的消耗感得点と脱人格化得点に改善が示された。このことから、介護職員が回想法スクールに参加することで、利用者の情報量が増大し、利用者理解が深まることから、介護職員の介護負担感は軽減することが明らかになった。 高齢者の抑うつや介護労働者の課題が社会的な課題となっている我が国において、今後、回想法を活用したケアが展開されることで、質の高いケアにつながり、一時的な介入にとどまらず、日常生活において、高齢者をケアする介護職員が活用していくことにより、双方にとって効果が期待できる可能性が開けた。
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