2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830113
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
中神 正史 Ritsumeikan Asia Pacific University, アジア太平洋マネジメント学部, 助教 (30454979)
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Keywords | 国際保健 / 母子保健 |
Research Abstract |
平成20年度は、乳幼児の健康需要関数を推計し、乳幼児の健康格差の要因を分析した。分析の主眼は、健康格差に関する民族間の異質性を検討することである。グアテマラでは、民族間の社会文化的な異質性が高く、同一の資源制約の下での保健選択行動が民族間で異なる可能性があり、同質性を前提とした分析・政策の妥当性は明らかではない。 乳幼児の健康指標(被説明変数)として、年齢別身長および年齢別体重を用いた推計は以下の点を示唆する。第1は、ラディノと先住民族との間のみならず、先住民族のなかでも(家庭内で)使用する言語により、健康格差の要因が異なる。第2は、先住民族についてみると、スペイン語を使用する先住民族と土着語を使用する先住民族の間のみならず、使用する土着語が異なる先住民族間(キチェ語、カチュケル語)においても違いがみられる。スペイン語を使用する先住民族は、親の教育水準、家計の経済水準ともに乳幼児の健康状態と正の相関を持つのに対し、カチュケル語を使用する先住民族は、家計の経済水準のみと正の相関を持つ。また、家計の経済水準の向上が乳幼児の健康改善に寄与する程度は、スペイン語を使用する先住民族に比べて小さい。キチェ語を使用する先住民族の乳幼児の健康状態は、家計の属性と相関を持たない。第3は、カチュケル語を土着語とする地域を対象とした分析では、母親のその他(家庭内での使用言語以外)の言語能力(読む能力、会話の能力)を用いて先住民族の異質性を検討しても、同様の傾向がみられる。
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