2008 Fiscal Year Annual Research Report
「制度志向型住民運動」としての住民投票運動と地域権力構造の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
19830120
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
新藤 慶 Niimi College, 幼児教育学科, 講師 (80455047)
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Keywords | 住民運動 / 住民投票 / 地域権力構造 / 市町村合併 |
Research Abstract |
1.研究計画に示した通り、市町村合併をめぐる住民投票運動と地域権力構造の関連を把握することで、「制度志向型住民運動」の発生要因と、それが地域社会の意志決定構造に与えた影響を明らかにすることを目的として研究を進めた。具体的には、群馬県旧富士見村(現前橋市)と旧榛名町(現高崎市)を対象として調査研究を行った。 2.旧榛名町の元町長への面接調査を行った。調査対象となった元町長は、合併反対の立場で町政を進めてきた人物であった。そのため、平成19年度に行った合併推進運動のリーダーへの面接調査と合わせ、旧榛名町での合併をめぐる対立構造をより深く把握するための資料を収集することができた。 3.旧富士見村と旧榛名町の住民を対象とした配布調査を行った。両地域では、自治体によって合併に関する住民意識調査や住民投票が行われてはいた。しかし、サンプリングの方法や調査項目が不十分なところがあり、合併をめぐる住民の意志や行動の実態は捉えきれていなかった。この点を補い、それぞれの住民の社会経済的な条件と合併をめぐる意志や行動との関連を把握するためのデータを集めることができた。 4.旧富士見村の事例を分析し、その成果を論文として発表した。そこでは、(1)合併をめぐる住民投票は、合併を推進するための手段として進められた性格が強く、住民参加制度の拡充を目指す姿勢は弱かったこと、(2)合併推進/反対両派の中心はともに地付きの有資産者層から構成されていたが、反対派は建設・水道関係など村から発注される事業を経営している者が多かったこと、(3)合併論議を契機として新住民が地域政治に参加する状況が見られ始めたこと、などを指摘した。
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