2008 Fiscal Year Annual Research Report
師範学校における専門学校程度昇格過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
19830121
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Research Institution | Nakakyusyu Junior College |
Principal Investigator |
小田 義隆 Nakakyusyu Junior College, 幼児保育学科, 講師 (50455094)
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Keywords | 教員養成史 / 師範学校 / 専門学校程度 / 昇格過程 / 教員人事 / 教育制度 / 教師教育 |
Research Abstract |
本研究は、我が国における1943(昭和18)年の師範学校の専門学校程度昇格の具体的なプロセスを解明するための基礎的なデータの収集とその分析を目的としている。本年度は、研究計画に基づき、以下の通りに研究を進めた。 1、国立公文書館が所蔵する、教員人事に関する資料「任用内協議(昭和18年度)」のマイクロフイルム化を完結し、データベース化した。この資料は、師範学校教授人事における履歴書・健康診断書・出身校の成績書が内包されており、すでに入手しデータベース化した「高等官進退」、「判任官進退」、「教員採用」を補強する重要な資料となった。 2、国立公文書館において、19年度に発見した「公文雑纂判任官俸給制限外支給」巻116〜巻125のマイクロフイルム化を完結し、データベース化した。この資料群によって1943(昭和18)年に師範学校が専門学校程度に昇格した際の助教授以下の履歴書をほぼ網羅する事が出来たといえる。 以上の作業により、総数1994名に及ぶ膨大な教員の履歴書を収集し、1943(昭和18)年の師範学校の教員人事の流れを掴むことが出来た。その履歴を追跡し、分析した結果、中等教育レベルであった府県立師範学校の教諭が専門学校程度に昇格した官立師範学校での職階に移行する際、教員の履歴書の記載事項の中で、中等教育レベルの学校での「勤続年数」と「学歴」が最重要視され、それらが複雑に絡み合って職階が決定されていることが明らかになった。 この研究の成果については、「師範学校の専門学校程度昇格に伴う教員人事に関する一考察(1)」(高田短期大学紀要第28号、2009年)等で刊行予定である。次年度以降も、引き続き事例研究として対象を広げつつ、1943(昭和18)年の師範学校の専門学校程度昇格に伴う教員人事に関する具体的なプロセスの研究を掘り下げていく予定である。
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