2007 Fiscal Year Annual Research Report
障害者の自立生活に対するインフォーマルなサポートの役割に関する研究
Project/Area Number |
19830123
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
丸岡 稔典 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 障害福祉研究部, 流動研究員 (20455380)
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Keywords | 社会学 / 障害者 / ソーシャルサポート / 社会関係 / 自立生活 |
Research Abstract |
本研究の目的は障害者の自立生活に対するソーシャルサポートにおけるインフォーマルなサポートの役割を質的及び計量的調査に基づき実証的に把握し、フォーマルなサポートとインフォーマルなサポートの連携のあり方をサポート現場に適用可能な形で提言することで、市場原理を通じたサービス提供が有する課題の解決に寄与することにある。 平成19年度は、主として、東京都世田谷区を対象として地域で比較的快適に生活している自立肢体不自由者への質的調査と社会資源関係団体への事例調査を実施した。 その結果、1)「生活の自己管理」に加えて、「健康」、「情緒的交流」、「自分らしい生き方の確立」が自立肢体不自由者の生活の快適さを検討する上で重要であること、2)自立肢体不自由者は自らの主体的な活動参加や他者との関係形成を通じてフォーマルなサポートを柔軟に活用し、またインフォーマルなサポートを入手していること、3)インフォーマルなサポートの受領は自立肢体不自由の生活の快適さに影響を及ぼしていること、4)支援費制度及び自立生活支援法は、障害者の自立生活に一定程度寄与しているが、これらの制度の導入の結果、自立生活センターのエンパワーメント機能の減少、「生活の自己管理」の困難さ、介助者不足、一般健常者の障害者への介助を通じた関わりの減少等の問題が生じていること、が示唆された。 これらの結果は、ソーシャルサポートの授受において、障害者を一方的な受領者としてなされるサボートではなく、障害者が主体的に他者と相互行為を行う中で生み出されるサポートが障害者の自立生活をより快適なものとすることを示唆している。本研究の成果は、障害者へのソーシャルサポートの提供のあり方に対する基礎的知見として位置付けられ、今後、フォーマルなサポートとインフォーマルなサポートの連携に基づく障害者福祉施策の展開及びサポート現場におけるサポート提供のあり方を検討する上で、有益な情報を提供するものである。
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