2008 Fiscal Year Annual Research Report
障害者の自立生活に対するインフォーマルなサポートの役割に関する研究
Project/Area Number |
19830123
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
丸岡 稔典 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 障害福祉研究部, 流動研究員 (20455380)
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Keywords | 社会学 / 障害者 / ソーシャルサポート / 社会関係 / 自立生活 |
Research Abstract |
公的介助サービスを中心としたフォーマルなサポートは、個々の障害者の状況に即応した柔軟な「手段」面のサポートや障害者に安心を与え力づける「情緒」面でのサポートに限界を持っている。そこで、本研究ではフォーマルなサポートの限界を補い、障害者の自立生活に寄与する家族外の人物によるインフォーマルなサポートのあり方を明らかにする。そのために肢体不自由者を対象とし、自立肢体不自由者への聞き取り調査、肢体不自由児養護学校卒業生への郵送質問紙調査、障害者生活支援組織に対する事例調査を実施した。その結果、1)公的介助サービスは身体機能の低い肢体不自由者が親元を離れて、生活を自己管理していくことに寄与していること、2)自立肢体不自由者は介助者や友人・仲間や地域と関係を深めることを通じて公的介助サービスの限界を補完する手段的サポートを引き出していること、3)インフォーマルなサポートのうち情緒的サポートは肢体不自由者の生きがいの創出に寄与していること、4)こうした情緒的サポートの入手は肢体不自由者本人が受け身になるのではなく、みずから周囲の人と交流を深めることによりなされていると考えられること、5)別居家族や近隣住民、友人との交流に乏しい社会的孤立の傾向がある層が一定程度存在し、男性及び親やきょうだいとの同居者にそのリスクが高いこと、が明らかとなった。したがって、今後肢体不自由者の自立生活に寄与するインフォーマルなサポートの充実を図る上では、肢体不自由者をサポートの受領者としてのみならず、周囲の介助者や友人、仲間、地域住民などとの主体的相互行為者とみなし、肢体不自由者本人がそうした人々と関係を形成する力の創出やそうした人々との交流の場の創出を支援する必要が示唆された。
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