2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19840005
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木田 良才 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (90451517)
|
Keywords | 離散群 / 軌道同値 / 測度同値 |
Research Abstract |
平成19年度は,離散群の標準確率空間上の測度を保存するような作用の間に定義される,軌道同値について研究を行った.特に,2つの軌道同値な作用がいつ共役になるかという剛性問題を研究した.私が扱った離散群の一つは,実階数が2以上の非コンパクト単純リー群を直積した群Gの格子部分群Γである.直積するリー群の個数が1個の場合は,Zimmer, FurmanによりΓの作用の剛性が証明されているが,2個以上直積した場合も当然考察されるべきであるが,証明が与えられていなかった.そのような群の作用の軌道同値に関する剛性を証明する際に,重要なステップとなるのは次の事実である.Gの確率空間上の2つの作用が軌道同値であるとし,それからできるコサイクルが簡単な形のものしかない.私はこの剛性を証明することができた.証明では,Zimmerのコサイクル超剛性と呼ばれる,単純リー群の作用に関する性質をGの各因子の群に繰り返し適用している.しかし,適用するためには多くのステップが必要となり,この多くの困難を乗り越えたのが本研究の重要なポイントであった.このコサイクルに関する剛性を用いて,Γの作用の剛性を証明することがこれからの目標となる. また,リー群の格子部分群だけでなく,写像類群の作用についても研究を行った.既にこの群の作用に関する剛性を証明していたが,この剛性を用いて,写像類群の作用で互いに軌道同値でないものを多く構成した.与えられた群の作用で互いに軌道同値でないものを具体的に構成することは容易なことではないが,写像類群の場合は比較的容易に構成が可能であることを示した.この構成が他の群でも可能と思われ,今後の応用が期待される.また,写像類群の作用からできる(測度論的)同値関係と呼ばれる擬群の外部自己同型群の計算を行った.
|
Research Products
(4 results)