2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19840006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
太田 雄策 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (50451513)
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Keywords | キネマティックGPS / 広帯域地震計 / 天頂大気遅延量 / 天頂大気遅延勾配 / 津波荷重変形 |
Research Abstract |
研究目標とする「GPSデータの広帯域地震計としての利用」の実現のために,本年度はキネマティックGPS時系列に含まれる各誤差要因の相関について詳細な検討を主に実施した.更に平行してGPS地震計の感度検定のために津波による荷重変形の検出を試みた.以下に具体的内容を記す. 第一に,時系列の指標として地球潮汐を用い,各分潮からの乖離を詳細に調べた.その結果,GPS衛星の軌道周回時間と合致するK1分潮においてその精度が低い事が明らかになった.また,S2分潮では天頂大気遅延量との分離精度が悪く,その結果時系列の精度が低下している事も明らかになった.対照的にM2分潮では1mm以下の精度でモデル値と観測値が一致し,時間帯域によってはキネマティックGPSデータはmmレベルの変位を検出できる能力を持つことが明らかになった. 第二点として,キネマティックGPSデータを広帯域地震計として用いるための試みとして,地震発生に伴う巨大津波による地表面の荷重変形の検出を試みた.対象とした地震は2004年12月に発生したスマトラ・アンダマン地震である.この地震によって発生した津波による荷重変形をインド洋中央のディエゴガルシア島の広帯域地震計とGPS観測点において検出できるかを試みた.GPSデータによる同現象の同定の試みはほとんどその事例が無く,意義が大きい.その結果,広帯域地震計では明瞭な津波到達による地表面の変位(傾斜)が観測されたものの,キネマティックGPS解析では明瞭な変化は検出されなかった.キネマティックGPS時系列の低周波領域(5分程度よりも長周期)ではノイズレベルが増大し,S/N比が大幅に低下する.こうした時間帯域のS/N比を向上させる事が急務である事が明らかになった.
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Research Products
(3 results)