2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19840008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉川 耕司 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (70451672)
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Keywords | 銀河団 / 非平衡電離状態 / ミッシングバリオン / プラズマ |
Research Abstract |
平成19年度は、宇宙論的なミッシングバリオンの有力な候補であるWarm-Hot Intergalactic Mediumの数値シミュレーションの為に、ダークマターとバリオンの自己重力及びバリオンの流体力学と同時に、重元素を含むイオンの非平衡電離状態と電子-イオン間の熱的緩和過程を整合的に解くシミュレーションコードを開発した。このシミュレーションコードを衝突銀河団に応用して、衝突銀河団では電子の温度がイオンの温度よりも低くなるため、非平衡電離状態が重要であることを示した。また、実際に観測されている衝突銀河団A399/A401における銀河団プラズマの物理状態の数値シミュレーションを行い、この二つの銀河団の衝突領域に存在する銀河団プラズマは電子とイオンの温度が異なり、更に電離平衡状態にはないことを示した。しかしながら、最近、衝突銀河団A399/A401は衝突領域の金属量が銀河団外縁部の典型的な値よりもかなり大きいことが電離平衡を前提とした上で観測的に明らかになったが、非平衡電離状態を考慮に入れても金属量は大きく変わらないことがわかった。 また、本研究で用いる重力多体計算や粒子法に基づく流体力学計算法Smoothed Particle Hydrodynamics(SPH)法を、x86系のプロセッサに搭載されているStreaming SIMD Extension(SSE)命令セットを用いて高速化することに成功した。重力計算については、SSE命令を使わない場合と比較して15倍程度の高速化を達成し、さらにマルチコアCPUでの並列処理などの最適化を行った。SPH法については、高速化の手法により2〜5倍程度の高速化を達成した。
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Research Products
(2 results)