2008 Fiscal Year Annual Research Report
LHC・ATLAS実験における超対称性粒子発見のための実験的研究
Project/Area Number |
19840013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 真平 The University of Tokyo, 素粒子物理国際研究センター, 特任研究員 (40451835)
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Keywords | ハドロンコライダー / 超対称性 / カロリメータ |
Research Abstract |
本研究はLHC加速器を用いた超対称性物理の研究のための実験開始までの準備研究およびLHC・ATLAS実験の初期データを用いた超対称性粒子探索を目的としている。LHC加速器の事故・修理によりデータ収集開始スケジュールが大幅に遅れ、当初の計画であった14TeV陽子衝突データの取得・およびそのデータ解析は遂行できなかったが、検出器シミュレーションを用いたジェットのエネルギー較正法や横方向損失エネルギーの評価法を検証し、2009年後半の実験開始直後のコミッショニングや超対称性粒子探索のバックグラウンド事象評価法の計略に大きな進展があった。 特にLHCでの新しい物理現象探索には横方向損失エネルギーの測定が極めて重要であり、実データでの再構成能力の理解が肝要である。そこでWボソンのレプトン崩壊事象を用いた横方向損失エネルギー測定の評価法を提案、また現実的なバックグラウンド環境下における有効性を検出器シミュレーションデータを用いて行ない、数10pb^<-l>相当のデータ量においても高い精度での損失エネルギーのスケールや分解能の評価・物理事象のトポロジー依存性の理解が出来ることを示した。また膨大な実行時間が問題となっているGEANT4カロリメータシミュレーションを代替するfastシミュレーションの開発・検証も手掛けた。多くの物理過程においてジェット・電子や損失エネルギーの測定性能がGEANT4シミュレーションを良く再現することを示すとともに、更なる改善を目指して実際の検出器ジオメトリの導入やカロリメータのシャワー形状パラメータの再調整を行なった。
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