2008 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡を用いた強相関電子系薄膜の局所物性測定とその応用
Project/Area Number |
19840014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 直毅 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 助教 (30436539)
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Keywords | 捜査型プローブ顕微鏡 / 強相関電子系 / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、酸化物試料に適した走査型プローブ顕微鏡、特にトンネル顕微鏡/分光(STM/STS)測定系を構築し、強相関電子系薄膜試料表面、界面で発現する特異な電子物性を原子スケールで測定すると共に、その表面での吸着原子・分子の物性、光などの外場へ高速応答などを実空間で検出することにあった。大気中でも安定な酸化物試料に対して、高分解能STM/STS測定法を確立し、強相関電子系に特有の電荷・軌道・スピン・格子自由度の相互作用の空間分布とその外場応答の高感度検出を試み、特にその巨大な外場応答の起因とされる電子状態の本質的な不均一性に注目し、また様々な電子相の競合するこれら電子系において応用可能な新規物性を探索することを目標とした。 現在までにSTM/STS測定系の開発を完了、その基本性能を確認し、典型的な強相関電子系マンガン酸化物試料であるLa_<0.7>Sr_<0.3>Mn0_3単結晶薄膜を用いて検証実験を行った。酸化物試料においても安定した表面構造、STS測定が可能であったが、表面吸着種によると思われる信号が多数観測された。そこで製膜装置から大気中を移送した試料の表面清浄化法に注目し、真空中、酸素雰囲気中高温アニールなどの各種処理を行ったが、試行した条件の範囲内では表面清浄化の結論は得られなかった。今後さらに広範囲のパラメータを用い、またオゾン処理などの手法も援用した表面処理法を検討するとともに、各種酸化物試料系において物性測定を行い、プローブ顕微鏡探針からの電界や電子注入による物性の改変、光近接場、また吸着原子・分子を介して、磁性を含め強相関電子系の表面・界面物性の制御を試みたい。
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Research Products
(8 results)