2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19840015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 孝高 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (70451804)
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Keywords | 励起子 / 超流動 / レーザー分光 |
Research Abstract |
亜酸化銅天然結晶中にパラ励起子を生成する励起用レーザーとのPLLによる電気的同期を行うことで、プローブ光として外部共振器付き量子カスケードレーザーを使用したものとして初めて、パラ励起子の励起子内部遷移に由来する誘導吸収スペクトルを取得可能となった。一方で、この量子カスケードレーザーがパルス発振型であるため、ショット毎に発振波長が僅かにモードホップすることが大きな強度変調につながり、誘導吸収量測定におけるSN比を劣化させることが判明した。そこで製造業者との性能面での協議の上、連続発振型モードホップフリーレーザーヘの改良を行い、高いSN比による測定の準備を進めた。 一方、パラ励起子密度の励起強度依存性に関して、本研究において昨年度進めた数値計算の結果、パラ励起子間の非弾性衝突によるロスが原因で、液体ヘリウム温度における励起子BEC臨界密度への到達が極めて難しいことが判明した。そのため、BECを実現するには、励起子温度をさらに下げることで臨界密度を下げる必要が生じた。そこで、サブケルビン領域まで冷却したパラ励起子を歪誘起3次元トラップを用いて空間的に閉じ込め、準安定状態励起子BECを実現するための実験を主に進めた。本研究では特に、無冷媒冷凍機内で生じる振動による発光イメージの振動を補償する光学系および回路の設計・製作を行った。また、励起子の崩壊が熱を発生することを想定し、熱伝導係数と比熱の温度依存性から、トラップ中での局所的な結晶温度上昇の数値シミュレーションを行った。この結果とともに、非弾性衝突レートが支配的な場合のトラップ中のBECの安定性を議論した。
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Research Products
(3 results)