2007 Fiscal Year Annual Research Report
非有界領域における圧縮性粘性流体の時間漸近挙動に関する研究
Project/Area Number |
19840037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 徹 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 助教 (90432898)
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Keywords | 解析学 / 関数方程式論 / 流体 / 漸近解析 / エネルギー法 / 粘性保存則 |
Research Abstract |
本年度は1次元半空間における圧縮性Navier-Stokes方程式の初期境界値問題に対し、解の時間漸近挙動、より具体的には定常解への漸近レートの算出に関する研究を行った。本問題については、解の境界値と無限遠方での値に応じて30通り以上の様々な解の漸近状態が現れることが予想されている。このうち大部分は未解決となっているが、境界における流速が負となる流出問題において漸近形が定常解で与えられる場合には、川島・西畑・Zhu等の結果により、無限遠方における流速が超音速または音速となる場合に限り、定常解が漸近安定であることが示されている。この安定性定理では、初期摂動は適当なソボレフ空間に属することが要求されているが、さらに重み付きの空間に属することを仮定することにより、定常解への漸近レートを導出した。証明は主に時空間重み付きエネルギー法による。本定理で得た収束の速さは、超音速流の場合はほぼ最適であると予想される。一方、無限遠方において音速流となる場合は、音速定常流の縮退性により多項式的な漸近レートしか求めることが出来ず、その値は超音速の場合に対して半分の速さしか求められていない。また、超音速流の場合には初期摂動の空間的な減衰の速さに応じた漸近レートを算出できるが、音速流の場合には漸近レートに上限が現れ、仮にサポート・コンパクトな初期摂動を与えたとしても、この上限値より速い漸近レートを求めることは出来ない。この上限値が最良であるかは現状不明であるが、関連する粘性保存則及び非線形移流項付き消散型波動方程式においても、同じ上限値が現れることが本研究を通じて明らかになった。
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