2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代の海洋におけるハフニウム同位体比を指標とした水塊・物質循環の解明に関する研究
Project/Area Number |
19840045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田副 博文 Nihon University, 文理学部, 助手 (60447381)
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Keywords | ハフニウム / ネオジム / セリウム / 同位体比分布 / 物質循環 / 平均滞留時間 / 地殻起源元素 |
Research Abstract |
海洋試料を用いたハフニウム同位体比の分析は高濃度にハフニウムを濃縮したマンガン団塊やマンガンクラストを用いた研究に限定されてきた。これらの研究は古環境復元に応用されるが、その一方で現在の海水が持つハフニウム同位体比はまったく測定されていない。これは海水中のハフニウム濃度が非常に低く、大量の海水を濃縮する必要があることに起因している。また、化学処理においても毒性の高いフッ化水素酸の使用が必要とされ、取り扱いが困難であることも挙げられる。しかし、ハフニウム同位体比と同様に放射壊変起源の同位体を用いたネオジムでは海水中でのトレーサビリティが高く、海洋循環のトレーサーとして多くの成果を挙げている。同様に、セリウム同位体比についても研究代表者によって測定法が確立されている。これらの3元素はそれぞれ海水中の酸化数・化学的挙動そして平均滞留時間が異なる。こうした同位体比情報を複合的に組み合わせることで複雑な海洋物質循環のメカニズムを解明することが期待される。 本研究では平成19年度に海水からのハフニウム濃縮・分離技術の開発を行った。マンガン酸化物を被覆したフィルターを吸着剤とした濃縮法を用い、太平洋における表面海水の採取を行った。この試料を溶解後、りん酸ジエチルエステルを用いた溶媒抽出法により水層ヘネオジムおよびセリウム、有機層ヘハフニウムを分離した。有機層中のハフニウムは0.5Mフッ化水素酸を含む塩酸溶液によって逆抽出することで回収が可能となった。この分離法により同一の試料中からネオジム・セリウム・ハフニウムをそれぞれ分雛し、同位体比分析することが可能となる。
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