2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代の海洋におけるハフニウム同位体比を指標とした水塊・物質循環の解明に関する研究
Project/Area Number |
19840045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田副 博文 Nihon University, 文理学部, 助手 (60447381)
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Keywords | ハフニウム同位体比 / 水塊トレーサー / ネオジム同位体比 / 陸起源物質 / 二酸化マンガン吸着法 / MC-ICP-MS |
Research Abstract |
現在の海洋における地球化学的循環過程さえも未だに不透明なハフニウムやネオジムなどの同位体を古海洋に適用することは重要なプロセスを見落とす危険性をはらんでいる。本研究では分析対象を現代の海水に焦点を絞り、海洋学的な水塊の識別ためのトレーサーの開発を行う。水塊の識別のためにハフニウム同位体比は高精度の分析が不可欠であり、そのためには大量の海水試料(3000L)を濃縮する技術が必要とされた。セリウム同位体比測定用に開発された二酸化マンガン吸着法(Tazoe et al.,2007)をハフニウム同位体比測定に適用し、高効率の濃縮法を開発した。すでに報告されている海水のハフニウム同位体比はHfの回収量が5ng以下と少ないため、その測定精度は0.1%前後にとどまっており、ネオジム同位体比との優位な差を認めることができない。本研究では50ng以上のHfを精製し、MC-ICP-MSでの試料調製を検討することで0.02%の精度を得ることが可能となった。また、同時にすでに水塊や陸源物質のトレーサーとして実用化されているネオジムやセリウムとともに分離することが可能である。
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