2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規ネプツニウム系超伝導体の超伝導体発現機構の解明
Project/Area Number |
19840051
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中堂 博之 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (30455282)
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Keywords | 超伝導 / 磁性 / 核磁気共鳴 / ネプツニウム化合物 |
Research Abstract |
本研究の対称物質であるNpPd_5Al_2は比較的高い温度で超伝導転移(TC=4.9K)を示す重い電子系超伝導体である。また巨視的な測定からポイントノードを持つd波超伝導体であることが示唆されている物質である。本研究はNMRによる微視的手法をもちいてNpPd_5Al_2の超伝導発現機構を明らかにすることが目的である。前年度はNpPd_5Al_2の核種の中で最も測定が容易な^<27>Al核のナイトシフト、核スピン格子緩和時間T_1の測定に成功した。その結果、Tcにおけてナイトシフトが減少していることや、T_1のTc直下にコヒーレン-ピークが見られないことから、超伝導対の波動関数はd波の対称性であることを明らかにした。また、超伝導状態において比較的低磁場の領域でNMRスペクトルの磁場依存性を測定し、混合状態の反磁場の分布を計算することにより磁場侵入長と反磁場シフトを見積もるのに成功した。また、T_1の磁場方向依存牲を詳細に測定し、超伝導状態、超伝導状態でT_1は大きな異方性を示すことが明らかとなった。超伝導状態のT_1の異方性はノード構造に関係していると思われる。常伝導状態のT_1はいずれの磁場方向でもコリンハ則に従わないことがわかった。常伝導状態のT_1の異方性は大きな温度依存性し、高温ではH//aのT_1が大きく、20K付近で逆転し、低温ではH//cのT_1が大きくなっていることがわかった。常伝導状態のT_1のこのような振る舞いはこれまでに報告されておらず、超伝導発現機構との関係に興味がもたれるので本年度のNMR研究で明らかにしたい。
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