2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19840052
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
幸坂 祐生 The Institute of Physical and Chemical Research, 高木磁性研究室, 基礎科学特別研究員 (80455344)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 高温超伝導 / 電流揺らぎ |
Research Abstract |
本研究では、高温超伝導を担う電子対についての知見を得ることを目的に、走査型トンネル顕微鏡を用いた電流揺らぎの測定を試みている。これは非常に微小な信号の検出を要求される測定であるため、装置を含めたシステム全体の安定化及び最適化を図る必要がある。 本年度は精密測定に必要不可欠である要素技術の確立及び測定環境の準備を重点的に行った。具体的には、(1)清浄試料表面を作製・保持するための超高真空装置の設計・作製、及び、(2)極めて高い安定度を得るための試料表面及び探針先端形状の準備方法の探究、である。(1)については、必要機能及び使用形態を吟味した設計をすることで、大型化する傾向にある装置をできるだけ小さく保っことを実現した。これは装置全体の安定度を高める上で重要である。(2)ついては、高温超伝導体Ca_<2-x>Na_xCuO_2Cl_2の単結晶試料を超高真空低温環境下でへき開して得た試料表面と、電界イオン顕微鏡(FIM)を用いて先端形状を原子レベルで制御した探針を用いて、実際に測定を行うことで評価した。これにより高い再現性を得ることができるような技術及び条件が得られつつある。しかしながら、本研究が意図するような超精密測定を安定して可能にするためにはまだ改善の余地が残されているため、技術向上の努力及び条件探索を行っている。一方、この測定を通して、本研究の目的と強い関連のある高温超伝導体の電子状態に関する知見が得られているため、これもあわせて行っている。
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