2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機化合物の分子レベル安定窒素同位体比分析による古海洋窒素サイクル復元法の研究
Project/Area Number |
19840054
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
力石 嘉人 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 研究員 (50455490)
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Keywords | 窒素同位体比 / アミノ酸 / クロロフィル / マレイミド / 古海 / 窒素サイクル |
Research Abstract |
堆積物や生物殻体中の含窒素有機化合物の窒素同位体比解析は、これらの分子を合成した当時の光合成生物の窒素同位体比や当時の生態系構造を復元することができ、過去の地球環境の窒素サイクルを知り得る唯一のツールである。本研究では、この解析法の実試料への応用として、生体.生物殻体(有孔虫の殻等).堆積物試料からのクロロ色素・フェオ色素.アミノ酸の窒素同位体比を測定し、現在及び過去の海洋環境の窒素サイクルの復元に取り組んでいる。 本年度は、実試料として、植物や藻類・シアノバクテリアのクロロ色素、海洋・湖表層堆積物に含まれるクロロ色素・フェオ色素の窒素同位体比を測定した。そして、光合成生物に含まれる異なる構造のクロロ色素(例えば、褐藻ではクロロフィルaとc)の窒素同位体比がほぼ同じであること、また、水柱中や堆積物中でクロロフィルが続成変化を受けても、窒素同位体比が保存されていることを明らかにした。これらの結果は12月の7th International Conference on Tetrapyrrole Photoreceptors in Photosynthetic Organismsで発表した。また、藻類.シアノバクテリア・動物プランクトン.貝.蟹.魚等の多様な試料に含まれるアミノ酸の窒素同位体比を測定し、フェニルアラニンとグルタミン酸(非必須アミノ酸)の同位体比の比較により得られる栄養段階推定が、普遍的に適応できることを確認し、またその推定誤差が±0.3程度であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)